デフォルメとは

デフォルメとは

今回は私の考えるデフォルメについてお話しようと思います。
よくあるデフォルメ講座を見ると、円形を2~3個描いて目や口を描きこんで、
パーツを加えていくコラージュのような考え方が多いように個人的に感じます。
私の考えるデフォルメも、きっとどこか共通している所はあると思うのですが、
誰かの参考になるかもしれないので記事に起こそうと思います。

デフォルメとは”省略と強調”

私はデフォルメとは”省略と強調”だと考えています。

デフォルメされていない状態とは、現実世界に存在するそのものです。
省略とは、優先度の低い情報を省く事です。
強調とは、優先度の高い情報を目立たせる事です。

この定義で考えるなら、特に幼い子供はデフォルメを描く事が得意と言えるかも言えるかもしれません。
母の日や父の日が近くなるとスーパーに張り出される、親の似顔絵を思い浮かべてください。
幼子ほど重要な所を抑えています。
最も重要なのは顔、次いで手足ですね。顔から手足が生えている場合もあります。
これは人間の中でも特に顔(目や口)が重要で、次に体が重要、その後に手足が重要で、指が重要だと赤ちゃんなりに無意識に考えているのだと私は思います。

手順

資料の用意

写真などの資料を用意します。
厳密には写真も既にデフォルメされていると考える事が出来ます。
なぜなら写っている他の角度からの情報が省かれているからです。
そして資料になる写真は概ね、被写体が分かりやすいように撮られています。既に被写体が強調されていますね。

ここではエゾリスの写真を用意しました。
私が町田リス園で撮影したエゾリスです。

情報の整理

資料の中から、重要な情報を抽出します。
顔の形、目の形、模様、パーツ、髪の長さ、色、持ち物など
目に入った順でいいので記憶するなり書き出すなりしましょう。

情報の整頓

抽出した情報に優先度を付けて、どれに重みをおいて伝えるか考えます。
自分で納得するまで作業を繰り返しましょう。
整頓を終えた情報を、ここでは特徴と呼びます。

エゾリスからは下記のような特徴が残りました。

顔、尾、耳、体、目、ヒゲ、手足、爪などの順に優先度を充てようと思います。

情報の省略

資料を参考に、特徴以外を省略しながら描き下ろします。

具体的には、
写真の絵が7頭身なら”頭身”という情報を省略して3頭身にしてしまったり、
頭部や体の複雑な形状から”骨や筋肉の凹凸”を省略して単純な図形に寄せたり、
関節と関節の間の距離を省略して短くしたり、
指を省略して手先を丸くしたりします。

恐らく無意識にシワや毛も省略しているんじゃないでしょうか。
人間はシンプルで伝わりやすい情報は受け入れやすい性質があるので、
情報過多にならないよう適切な情報量に抑えてください。

エゾリスは以下のように省略されました。

特徴の強調

重要な情報が伝わりやすいように、強調して修正しましょう。

顔が重要なら本来の目の比率より大きくしてください。
目が重要なら本来の目の比率より大きくしてください。
使用場面によって物を持たせたりする場合は手を大きくする必要もあるかもしれません。
セクシーな事を伝えたいなら胸やお尻を強調すべきでしょう。

この際、丸みを付けると可愛く、流線形で尖るとカッコよくなります。

このテクニックは似顔絵にも応用されています。
ホクロがあるなら大きく目立つように描き、たれ目つり目なら角度を際立て描かれる筈です。

自分で納得するまで省略と強調の作業を繰り返しましょう。
エゾリスは以下のように省略と強調が行われました。

ちなみに公式パンフレットではこのように描かれています。
来園者が受け入れやすいように洗練されていますね。

情報の追加

出来上がった情報に加えたい要素があれば加えます。
帽子をかぶせる、衣装を着せるなどしてもいいでしょう。

違う種類のリスですが、公式のパンフレットではこのように衣装を着て歩くリスが描かれています。

おわりに

この考え方なら、先に円形を2~3個描いてコラージュするやり方とは違うので、色々応用が利くかもしれませんね。
参考になれば幸いです。

イラストカテゴリの最新記事